失敗を恐れずにチャレンジする心を育むには?

新しいものごとに果敢にチャレンジする子どもの姿は、親にとってとてもうれしいもの。子どものチャレンジ精神を育むために、親はどのようなことを意識したらよいのでしょうか?

子どものペースを尊重し、見守ることのできる親になろう

 親として、子どもには〝何ごとにも意欲的にチャレンジしてほしい〟と願ってしまいますよね。チャレンジに必要なのは、〝自分の能力には、無限の可能性がある〟〝自分には、困難を乗り越える力やものごとをやりとげる力がある〟という自信です。自分の力を信頼できる子は、本来持っている能力を発揮してぐんぐん伸びていくのです。
 子どもたちの中に眠る「自信の芽」を伸ばしていけるかどうかは、周囲の大人の関わり方も非常に重要です。特に、慎重で注意深い性格の子の場合、初めて出合うものごとに積極的になれないことがありますが、そんなときに親が心がけたいのは、焦らずに成長を見守る姿勢。その子のペースを尊重して、できることから少しずつチャレンジの機会を増やしてあげられるとよいですね。
 大好きなママやパパからの、「いつも見ているよ」「応援しているよ」とのメッセージをしっかりと受け取った子どもは、そのことを土台に、時期がくると安心して飛び立つことができるようになるものです。じっくりと時間をかけながら、子どもの自信を育んでいきましょう。

わが子はどのタイプ?
チャレンジが得意な子と不得意な子は、何が違うの?
子どもの個性を見極めよう

チャレンジの得意・不得意は、子どもの性格が大きく影響している場合があります。
しかし、どんな性格だからよい、悪いなどはありません。子どもの個性を受け入れて、その子に合った関わり方を工夫していきましょう。

チャレンジが得意な傾向に

●負けず嫌いな子
 勝敗をつけることや、達成感を感じたりすることを好むので、新しいものごとへのチャレンジにも意欲的。ただし、「〇〇くんより、ぼくのほうがすごい」などと、人との比較に目がいきすぎると、周りの友だちとぶつかりがちです。他の子と比べて優劣をつけるのではなく、自分自身の進歩や成長に目を向けられるような言葉がけを意識していきましょう。

●好奇心が強い子
「楽しそう」「おもしろそう」と思ったことには何でも挑戦。次々と新しいことに興味を持ち、創意工夫するのも得意かもしれません。子どもの自主性をできるだけ尊重して、子どもが関心を持ったことを、親も一緒になって楽しむ姿勢を持てるとよいですね。

チャレンジが苦手な傾向に

●慎重な子
 安全への欲求が高いので、新しいことへのチャレンジは苦手な傾向があります。このタイプの子への「これくらいできるはず」といった励ましや、チャレンジを押しつけるような態度は、逆効果になることが……。難易度の低いものからできることを増やして、少しずつ自信を積み重ねていくことが大切です。

●失敗を恐れている子
「できた」「できない」と、結果だけに着目した評価ばかりを受けると、子どもは人の目を気にして、失敗を恐れるようになってしまいます。チャレンジや努力の過程、その姿勢に目を向けて、「失敗しても大丈夫だよ」「失敗しても、挑戦したあなたがすてきだよ」とのメッセージをしっかり伝えていきましょう。

子どもを信頼する姿勢が大切
チャレンジする子どもを見守れる親になろう!

<1> やってみたい、イメージを広げる
「これができたら、かっこいい!」「楽しそう!」そんな気持ちは、チャレンジの原動力。きょうだいやお友だちがやっていることに好奇心が刺激されて、自分もやってみたいと思う子も多いことでしょう。身近な場面でのよいお手本との出合いは、子どものやる気を刺激します。

<2> スモールステップで、小さな成功体験を得る
 チャレンジが苦手な子には、難易度を下げたスモールステップを用意してあげましょう。小さな成功体験を積み重ねて、「楽しい!」「もっとできそう」という感覚をつかむことがポイントです。鉄棒なら、簡単なぶら下がり遊びから、ジグソーパズルなどの集中力が必要な作業ならピースの少ないものからと、生活や遊びの中で工夫できることを探してみてください。このときに重視したいのは、何かをできるようにする(練習させる)のではなく、親子で一緒に楽しむ姿勢。「楽しい」という感覚が、もっとやりたいという気持ちを引き出してくれます。

<3> 「今、できなくてもよい」という視点を持つ
「他の子はできるのに、うちの子だけやろうとしない」という状況は、親にとってつらいもの。ただし、目の前の子どもの姿は、あくまでも成長の途中です。苦手を克服させようと無理強いすることで、「どうせできない」という気持ちを植え付けて逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。
 チャレンジが苦手な子には、苦手なことを克服することに焦点を当てるのではなく、子どもの好きなことややりたがることを、のびのびとできるように応援してあげることのほうが有効かもしれません。得意なものができて自分に自信がつくと、〝自分なら、きっとできるはず〟と他のチャレンジにも意欲が持てるようになります。一番大切なのは、子どもの自信を育むことなのです。

ついついやりがちな、こんな関わりは要注意!

▼ほめすぎる
 子どもが何かできたときの「すごいね」「えらいね」などのほめ言葉は、決して悪いことではありません。ただし、外からの評価ばかりを与えていると、他人からの評価が基準となり、人が見ていないとやらなくなったり、自分で考えて行動しなくなったりと、思わぬ副作用をもたらすことがあります。
「すごいね」の代わりに「よかったね」「うれしいね」、「えらいね」の代わりに「ありがとう」などと、その子の気持ちに寄り添った言葉や、子どもを認める言葉に置き換えるとよりよいですね。

▼ごほうびでつる
「これができたら、〇〇を買ってあげるよ」などと、ごほうびでつると、常にごほうびがないと行動しない子どもになってしまうことがあります。自分の意思によるチャレンジで得られる達成感や喜びは、親が与えてあげられるものではないことを心しておきましょう。

▼他の子と比較する・できないことを𠮟る
 子どもには、それぞれの成長のペースがあります。「〇〇ちゃんはできるのに」と比較したり、「〇歳になったのに、こんなこともできないの!?」と叱ったりする行為は、子どもに劣等感を植え付けて、自信を失わせてしまいます。「だんだんとできるようになっているね」「できることからやっていけば大丈夫。応援しているよ」と、その子自身の成長に着目した声かけを意識していきましょう。

☆月刊誌『灯台』2018年1月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載