毎日を元気に過ごそう!早寝・早起きのコツ

睡眠が心身に与える効果が重要視されるなかで、子どもの生活の〝夜型化〟が危ぶまれています。早寝・早起きはなぜ大切なのでしょうか。その理由と、実践のコツを紹介します。

朝や昼間の生活のなかから整える睡眠リズム

 新年度の生活に慣れ始めてきた頃や、大型連休などの長い休みの期間は、睡眠リズムが乱れがちに。大人も子どもも、つい夜更かしや朝寝坊をしてしまいますよね。その結果、乱れてしまった睡眠リズムを立て直すのに苦労することもあるでしょう。
 乱れてしまった睡眠リズムは、ただ布団に入る時間を早めるだけでは、なかなかうまく整いません。ポイントは、夜だけではなく、朝や昼間の生活から見直していくこと。それには、子どもだけではなく家族みんなが協力して、毎日の生活のなかで工夫をしていく必要があります。
 最近は、疲労回復や心身を修復する睡眠のメカニズムが科学的にも検証され、睡眠の質が心身の健康に及ぼす影響の大きさが知られてきています。早寝・早起きは子どもの成長にとってはもちろん、パパの健康やママの美容にとっても、とても大切な要素。毎日を元気に心地よく過ごすために、親子で睡眠習慣を見直してみましょう。

カギになるのは、朝の光!「早起き」から始めよう

早寝・早起きを定着させるためには、「早く寝ること」ではなく「早起きをすること」を意識することがポイントです。私たち人間の体には、〝体内時計〟という仕組みがあり、睡眠や覚醒のタイミングは、体内時計のリズムの影響を受けます。体内時計のサイクルは約25時間。1日の24時間より少し長いため、放っておくと、眠気が訪れる時間が約1時間ずつ後ろにずれてしまい、どんどん夜型の生活になってしまうのです。この〝ずれ〟を直すために有効なのが朝の光。朝、明るい光の刺激を受けることで、体内時計がリセットされ、正常なリズムを刻み始めるのです。

少しずつ起きる時間を早めよう

まずは、毎日しっかりと朝の光を浴びて、体内時計を整えることから始めましょう。とはいえ、起床時間をいきなり早めるのはつらいもの。毎週10分ずつなど、徐々に早めて慣れていきましょう。どうしても目が覚めにくい子の場合は、日のあたる明るい場所に抱っこで連れていき、しばらく様子を見てみましょう。

休日もできるだけ同じリズムで 

休日は睡眠リズムが崩れがちですが、できるだけ普段と同じ生活を心がけましょう。特に、お昼近くまで寝てしまうと体内時計が一気に遅れてしまいます。大人も子どもも、休日の朝寝坊は1時間程度までにとどめておきましょう。外出などで、どうしても帰宅が遅くなってしまった場合には、お風呂や着替えより寝かせることを優先したほうが、普段のリズムを保ちやすくなります。

毎日の過ごし方も工夫しよう早寝・早起きの習慣化のコツ

早寝・早起きのためには、起きる時間と寝る時間だけではなく、毎日の過ごし方も重要です。規則正しい睡眠リズムをつくるためにできる工夫を紹介します。

起きるのが楽しみになるような工夫をしよう

どうしても朝が苦手な子には、朝起きるのが楽しみになるような工夫をしてみましょう。早起きができた時にはシールが貼れる「はやおきひょう」を用意したり、前の晩に、翌日どんな遊びをしてみたいかを話し合ったり、食べたい朝食のリクエストを聞くのもよいですね。ベランダに出て植物の世話をしたり、家族そろって散歩に出かけるなど、屋外で日光にあたる活動を習慣にするのもおすすめです。子どもが喜ぶことを朝の活動に取り入れてみましょう。

◆太陽の下で十分に運動させよう

朝早く起きても、夜まで元気いっぱいという子の場合は、昼間の活動量が足りていないせいかもしれません。日中にしっかり活動することで満たされた気持ちになり、必然的に眠りのスイッチが入ります。特に、午前10時から12時は、外遊びなどでたっぷりと体を動かすようにしてみましょう。

◆お昼寝は午後3時前までに

午後3時以降に昼寝をさせてしまうと、夜の就寝時間に影響が出やすくなります。「3時のおやつ」のタイミングで目覚めるようにお昼寝をすると、寝起きが悪い子も起きやすくなるかもしれません。タイミングが合わず、どうしても昼寝の時間が遅れてしまった場合は、普段より早めに起こすようにしましょう。

◆ぬるめのお風呂でリラックスしよう

入浴は、就寝の1~2時間前に行うと眠りやすいと言われています。入浴で深部体温と呼ばれる体の内部の温度が上昇すると、入浴後にそれが冷えて下がった時に眠気が訪れます。夕食が遅くなりがちなご家庭では、食事の前にお風呂を済ませるのもよいかもしれません。寝る直前に熱いお風呂に入ると体が興奮状態になり、眠りにつきにくくなってしまうことがありますので、その場合は、お湯をぬるめにするとよいでしょう。

◆家族で眠る態勢を整えよう

寝室にテレビの音や話し声が聞こえないようにしたうえで、子どもが安心して眠れる環境を整えましょう。夜間に強い光を浴びると睡眠を促すホルモンが抑制されてしまいますので、テレビ・スマホ・ゲームなどは、寝かせる2時間以上前には終わらせて、20時を過ぎたら部屋の明かりを暗めにするなどの工夫をしてみるとよいでしょう。また、絵本の読み聞かせなど、「寝る前にいつもすること」をつくって毎日行うと、これをやった後は眠るという習慣がつきやすくなります。

体内時計が狂ってしまうと何が起きる?

朝に光を浴びる機会を逃してしまうと、「朝になっても目覚めにくい」「日中に元気がない」「夜、寝る時間になっても元気である」などと、ますます夜型化に拍車がかかってしまい、放っておくと心身の不調につながることも。また、体の発育や疲労回復に大切な「成長ホルモン」や、情緒を安定させる役割を果たす「セロトニン」などのホルモンの分泌が減り、働きが不十分になることがあります。

☆月刊誌『灯台』2021年5月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載