ベランダでもできる!子どもと楽しむガーデニング

緑のある生活は、心を豊かにしてくれます。日差しが暖かくなるこれからの季節はガーデニングを始めるのにはぴったり。季節の変化を肌で感じながら、親子で一緒に植物のお世話を楽しんでみませんか。

植物の存在を身近に感じられるベランダガーデニング

 春になると、園芸店には、たくさんの植物の苗が並びます。最近は、マンションなどの集合住宅でも楽しめるベランダガーデニングも人気。暮らしとガーデニングのスペースが近いことから、小さな子どもでも、植物の存在が身近に感じられる環境が作れます。水やりなどを毎朝の日課にすると、生活のリズムができて良いですね。子どもの好きな植物を一緒に選んで、「これは〇〇ちゃんの植物だから、お世話をお願いね」と責任を持たせてあげれば、愛着をもって取り組んでくれることでしょう。
 植物のお世話を通して、子どもたちはたくさんのことを学びます。種から芽が出て、苗が育っていく様子を観察したり、自分で育てた野菜や果物を収穫して食べたりする経験は、幼い胸に印象深い思い出として残るでしょう。また、水や肥料を与えないと枯れてしまうことや、植物の周りに集まる虫などの姿に触れることも、命や自然のあり方を知るきっかけになります。
 屋外で過ごすのが気持ちよく感じられるこれからの季節は、ガーデニングを始めるのにはぴったり。まずは一鉢から、植物と一緒に暮らす生活を楽しんでみませんか。

子どもと楽しむ植物選び

 子どもと一緒に育てるのなら、色鮮やかな花や、味や香りを楽しめる植物、子どもの目線に入りやすい背丈の低い植物がおすすめ。ここでは、これからの季節に楽しめて、比較的育てやすい4つの植物を紹介します。
※種まきや植え付けの時期は、地域ごとの気候によっても異なります。また、水やりや肥料の与え方などの栽培方法の詳細は、園芸店などにご相談ください。

◆色鮮やかな花を咲かせる植物
ひまわり
 種まき:4月中旬~6月中旬 開花:7月~9月
 太陽のような、大きな花を咲かせるひまわりは、夏の花を代表する一年草。鮮やかな黄色い花に元気をもらえそうですね。
 日の良く当たる、風通しの良い場所が適しています。さまざまな品種があるので、プランター栽培に適したものを選びましょう。

◆おいしい果実を味わえる植物
ラズベリー
※秋に収穫できる品種もあります。
植え付け:3月~4月上旬  ・11月下旬~12月 収穫:6月中旬~7月
 独特の甘酸っぱさが人気のラズベリーは木苺の一種。可愛らしい見た目で、そのまま食べるだけでなく、ジャムやお菓子などの材料にも適しています。
 日当たりの良い場所が好ましいですが、半日陰でも生育します。植え付けには、水はけの良い土がおすすめ。2年に1回は、一回り大きな鉢に植え替えます。
 ※強すぎる日差しが苦手なため、関東より北の地域のほうが栽培しやすいでしょう。苗を植え付けてから1~2年で開花結実します。

◆果実の形を楽しめる植物
ほおずき

植え付け:3月~4月 開花:6月~7月 鑑賞:8月~9月(果実を含むがく)
ちょうちんのような見た目が可愛らしいほおずき。よく熟したものを数日水につけて乾燥させると、葉脈だけが残った美しい飾りとなります。
日当たりのよい場所で管理しましょう。鉢植えの場合は、年に一度の植え替えが必要に。種から育てた場合、結実までには2~3年かかります。

◆香りを楽しめる植物
ミント

植え付け:4月~6月 開花:6月~8月
ハーブ類は、育てやすいものが多く初心者にはおすすめ。爽やかな香りのミントは、アイスクリームに添えたり、ミントティーやミント水を作ったりして、子どもも一緒に楽しめます。
日当たりの良い場所か半日陰で育てます。生育力旺盛で根も張るため、毎年大きめの鉢への植え替えが必要です。冬の寒さで地上に出ている部分が枯れてしまっても、春にはまた芽吹いて元気に育ちます。

袋栽培で野菜作りにチャレンジ!

 ホームセンターなどで売っている培養土の袋に、そのまま種や苗を植えて育てる「袋栽培」。この方法なら、ベランダなどの限られたスペースでも、手軽に野菜の栽培を始めることが可能です。培養土の袋にはあらかじめ肥料が入っているので、袋の上部を開けるだけで植え付けが可能。使い終わったあとの置き場所に困ることもありません。基本的な栽培方法は、一般的な野菜作りと同じ。自分で育てた野菜を食べる喜びはひとしおです。

■袋栽培の基本
 ポリエチレン製の袋は、通気性や排水性が悪いので、通気性と排水性に優れた培養土を選ぶことが大切です。肥料(元肥)が入っているものが適しているので、確かめておきましょう。
 
■袋を縦に使う方法
 深さを確保したい野菜に適した方法です。根が深く張るトマトや、にんじんやじゃがいもなどの根菜類に向いています。

①袋を数回地面に打ちつけて、土を底側に寄せて安定させたあと、袋の上部をハサミで切り開き、袋の口を何回か折り曲げます。
②先のとがったドライバーなどを利用して、排水用の穴を開けます。地面から10cmほどのところまで、裏表にバランス良く開けましょう。

※支柱を立てる場合には、針金を袋に巻き付けて、袋の外側に支柱を固定すると安定しやすくなります。

■袋を横に使う方法
袋を縦に使う場合よりも、より多くの苗を植えられます。排水用の穴は、地面から5cmくらいの高さまで開けましょう。リーフレタスといった葉菜類などにおすすめの方法です。

■袋を寝かせて使う方法
袋の表側に対角線に切り込みを入れ、切り口をクルクルと巻いて開きます。あらかじめ、排水の穴を地面に触れる側に開けておきましょう。ほうれん草や水菜、ラディッシュなどの生育期間が比較的短い野菜や小型の野菜向けです。

見栄えが気になる場合には…
培養土の袋をそのまま使用するのは、見栄えが悪くて気になるという場合には、麻袋でも代用可能。通気性に優れているため、穴を開けずにそのまま使用することができます。

気を付けたい!ベランダガーデニングを楽しむルール

ベランダガーデニングならではの注意を怠ると、近隣からの苦情などのトラブルや、思わぬ事故を引き起こすことも。ルールを守って、気持ちよく、安全に楽しみたいものですね。

◯管理規約を確かめてから行ないましょう
マンションやアパートでは、ベランダは共用部分です。あらかじめルールを確かめてから行ないましょう。

◯安全性に配慮しましょう
避難通路やハッチなどの開口部に植物を置いてはいけません。2階以上の階では、手すりの外側にプランターや鉢を設置するのも危険。植物棚に足をかけて、子どもが転落する事故も起きていますので、設置場所などには十分に注意をしてください。

◯掃除はこまめに。臭いや害虫への対策も行ないましょう
落ちた葉や土が排水溝を詰まらせることがあるので注意をしましょう。また、余った土や肥料はフタ付きの箱に収納するなど、臭いや害虫対策にも配慮が必要です。

◯設置場所を考慮して、計画的に行ないましょう
季節によって日当たりが変わるので、場所を移動させるなどの工夫が必要です。乾燥の激しいエアコン室外機の前は、植物には適しません。植物の購入前に、ガーデニングに充てられるスペースはどこなのか、設置場所を考えておきましょう。

◯高層階では風にも注意
マンションの高層階では、下層階よりも風が強いことが。台風の季節には、室内に避難させるなど、安全を確保しましょう。

☆月刊誌『灯台』2018年3月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載