日常に潜む、命を脅かす事故から子どもを守ろう

0歳児を除く乳幼児の死因でとても多いのが「不慮の事故」です。大切な命を脅かす事故の危険からどのように子どもを守ったらよいのでしょうか。

危険を事前に予測して安全な環境を整えましょう

 毎年多くの子どもが「不慮の事故」により尊い命を落としています。子どもは好奇心旺盛で思いのままに行動しますが、大人と比べて視野も狭く、「ここは危ないな」といった危険を察知する能力や、事故の瞬間に危険から身を守る反射神経も未発達なため、ちょっとした危険でも命に関わる事故へとつながってしまいます。
「不慮の事故」の中で交通事故に次いで多いのが「水の事故」で、1~4歳ごろまでの事故の大半は家の風呂場で起きています。年齢が高くなり活発に動き回る時期になると、川や海など戸外での水の事故も増えます。
 また、幼少時は転倒・転落による事故も多く見られます。子どもは頭が大きく平衡感覚も十分に発達していないため、バランスを崩しやすいのです。
 事故を未然に防ぐには、大人が子どもから目を離さないことを基本としたうえで、「家の中では子どもの手の届くところに危険なものを置かない」などの事故の起こらない環境づくりや、「危険な場所には近づけないようにする」などの対応が必要です。


【少しの油断が命取り! 死亡率の高い事故とその予防策】

■交通事故 

〈ヘルメットを着用する〉
 自転車事故で死傷した子どもの多くが頭部を負傷しています。ヘルメットをかぶらせずに自転車の前・後部席に子どもを乗せている人を多く見かけますが、非常に危険です。近距離であっても油断せず、必ず乗車用のヘルメットをかぶらせましょう。

〈チャイルドシートを着用する〉
 2002年より、6歳未満の子どもにはチャイルドシートの着用が義務づけられていますが、その使用率は未だ6割弱。未使用者の死亡・重傷率は使用者の約4倍です。同乗の大人が抱っこするのも危険です。適正な着用で子どもの命を守りましょう。

■お風呂での事故 

〈浴槽にお湯を残さない〉
 乳幼児は、洗面器に入ったお湯でも溺れてしまう場合があります。それほどお風呂場は、乳幼児にとって危険な場所ですので、基本的に浴槽には、お湯は残さないようにしましょう。どうしても浴槽に水はりをしておきたい場合、お風呂場に外側から鍵をつけるようにするなど、子どもが入れない工夫をしましょう。

〈入浴中は子どもから目を離さない〉
 入浴中、大人がちょっと目を離したすきに子どもが溺れて命を落とす事故も多く発生しています。乳幼児と小学生のきょうだいなど、子どもだけで入浴させるのも非常に危険です。必ず大人が一緒に入って、目を離さないようにしましょう。

■家での転倒・転落事故 

〈高い場所には近づけないようにする〉
 特に気をつけたいのは、高層階のベランダなど、高所からの転落です。ベランダの柵や窓の近くには、エアコンの室外機や棚などはNG。踏み台になってしまいます。また家の階段や二段ベッドなど、子どもが上から落ちる危険性のある場所には柵をつけましょう。

〈障害物となるものを排除する〉
 乳幼児は少しの障害物でも転倒するので、子どもが生活する空間の床には、新聞紙やコードなども置かないように。ラグやマットなど滑りやすいものは、動かないよう固定する必要があります。脱衣所やキッチンなどの水回りでは、こまめに水を拭き取りましょう。

☆月刊誌『灯台』2013年5月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載