夏に流行しやすい子どもの感染症対策

夏はプール開きや夏休みなど、子どもにとってうれしい季節ですが、暑さで体力が奪われやすく感染症が流行する時期でもあります。日頃からしっかりと予防に努め夏を楽しく元気に過ごしましょう!

夏の感染症の主な原因は疲労や生活リズムの乱れ

 感染症とは、ウイルスや細菌などの病原体が皮膚や粘膜などから体内に入って増殖し、発熱や発疹など、さまざまな症状を引き起こす病気のこと。乳幼児はまだ大人と比べて免疫力が弱いうえ、特に夏場は、暑さから食欲不振になったり、疲労で免疫力がさらに落ちるため、よりいっそう感染症にかかりやすくなってしまうのです。
 夏休みに入ると夜更かしをしたり、食生活が不規則になったりしがちですが、生活サイクルの乱れは感染症のリスクを高めます。バランスのよい食事と規則正しい生活を心がけましょう。また手洗い・うがいは感染症予防の基本です。冬場だけではなく、1年を通して習慣化することが大切です。
 万が一、感染症にかかってしまったら、他の人にうつさないよう注意しなければなりません。疑われる症状が見られた場合は、幼稚園や学校などは休ませ、すぐに受診しましょう。

〈感染症の主な感染経路〉

●空気感染

飛沫内の水分が蒸発すると、飛沫核という小さな粒子になり、空気中を広範囲に漂う。これを吸い込むことで感染。
 

●飛沫感染

感染した人の咳やくしゃみで病原体が含まれた水滴が口や鼻から放出され、それを人が吸い込むことで感染。
 

●接触(経口)感染

感染した皮膚や粘液の直接的な接触、または病原体を含む便などの汚物、病原体に汚染された物や手などを介して主に口から感染。

【夏に流行する感染症の予防策】

感染症予防の決め手は毎日の心がけ。手洗いやうがいなど、親が子どもに声をかけて習慣化させましょう。

●咽頭結膜熱(プール熱)

【症状】
発熱(38~39度)、のどの痛み、頭痛、結膜充血などが3~7日間続く。プールの水を介して感染することが多く「プール熱」とも呼ばれるが、プール以外でも目やに、鼻水、唾液からも感染する。
【予防策】
うがい・手洗い、プール前後のシャワーの徹底、タオルなどの共用を避けるなど。

●流行性角結膜炎(はやり目)

【症状】
結膜の充血、まぶたの腫れ、異物感、目やに、耳前リンパ節の腫れなど。プールの水やタオルなどを介して感染。非常に感染力が強く「はやり目」とも呼ばれる。
【予防策】
手洗いの徹底、手で目をこすらないようにする、手指の消毒、タオルなどの共用を避けるなど。

●ヘルパンギーナ

【症状】
突然の高熱(39度以上)、のどや口の中の粘膜に赤い発疹や水疱ができる。4歳以下の乳幼児に多く発症し、便を介した接触感染、唾液からの飛沫感染が多い。
【予防策】
手洗い・うがいの徹底、手指の消毒など(特にトイレの後)。

●手足口病

【症状】
のどや口の中の粘膜に痛みを伴う水疱ができ、手のひらや足の裏、ひじ、ひざ、お尻などに赤い発疹が出る。熱はあまり高くならないことが多い。主に唾液や鼻水、便を介して感染。
【予防策】
手洗い・うがいの徹底、手指の消毒など(特にトイレの後)。

●伝染性膿痂疹(とびひ)

【症状】
虫さされやあせもなどによるかゆみでかきむしった皮膚に菌が侵入して感染。かゆみを伴う水疱ができ、かくことで水疱が破れて液が別の場所へと付着、身体の広範囲に感染する。
【予防策】
かき傷や外傷は早めに治療する、皮膚を清潔に保つ、手洗いの徹底、爪を短く切るなど。

●伝染性軟属腫(水いぼ)

【症状】
円形で平たい米粒大(2~5mm)のいぼが手足、わきの下、胸部、上腕の内側などにできる。主にプールで感染が広がりやすく、感染した場所から別の場所へと自家感染することも多い。
【予防策】
プール後のシャワーの徹底、タオルやビート板、浮き輪などの共用を避けるなど。

☆月刊誌『灯台』2014年6月号「ヤング・ミセス・プラザ」より転載